フィラリア症の予防薬は12月まで必要なの?

予防薬の投薬期間は、
「蚊の発生後1ヵ月から蚊の発生終息1ヵ月後までの間」
とされています。

つまり、
最初の投薬時期は、蚊が出始めてから1ヶ月以内、
最後の投薬時期は、蚊を見なくなってから1ヶ月以内、
ということです。

蚊が出始める時期や、蚊が出終わる時期は、年や地域によって違います。
HDUという概念を用いて、その年の気温のデータから、蚊が出始める時期と出終わった時期(正確には、蚊が感染能力を持ち始めた日と感染能力を失った日)の目安を決めることが出来ます。

福岡県の2002年~2017年の16年間では、
感染開始の最早日は5月2日、最遅日は5月20日、
感染終了の最早日は11月3日、最遅日は11月21日
です。(No.192 HDUを用いた近年の犬糸状虫感染期間

この過去のデータから言えることは、
最初の投薬は遅くとも6月2日頃迄に行い、最後の投薬は11月21日を過ぎた頃に行なえば、フィラリア症を予防できるということです。

このデータから、当院では、飼主様の投薬の利便性、効率を考慮して、
5月末から11月末まで、毎月末日に計7回、投薬することを推奨しています。
(最初の投薬が少し遅れて6月初旬になった場合は、毎月初旬に、12月初旬まで、
最初の投薬がずれ込んで6月中旬であれば、毎月中旬に、12月中旬までになります)

表題の、「フィラリア症の予防は12月まで必要か?」についてですが、過去のデータから言える事は、
「福岡県では、11月の投薬が下旬(21日から末日までの間)であれば、1ヵ月後の12月下旬は飲ませる必要がない」
ということになります。

別の表現をすれば、シーズン最後の投薬は、11月下旬から12月中旬までに行なう必要がある、ということです。
万が一、最後の投薬を終えた後に、愛犬が蚊に刺された場合は、1ヶ月以内にもう一度内服させてください。

(※)注射タイプの予防薬は、わずかな確率ですが死亡事故が発生しているので、当院では採用しておりません。

2018年12月01日